内海皮フ科のブログ

柴苓湯パート2

 

 2年ほど前の8月に柴苓湯について記載しました。糖尿病や緑内障の患者さんにはステロイドを処方できないので、皮膚疾患の治療にステロイドの代替えとして柴苓湯を使うことがあります。ステロイドの内服より即効性はありませんが、じわじわと効いてくる感じがします。

 近頃はニキビ跡が瘢痕状になった患者さんによく処方しています。肥厚性瘢痕やケロイドに柴苓湯が有効との報告を見てから使っていますが、処方すると瘢痕が少しずつ軽減するようです。また皮膚科の疾患ではありませんが、患者さんから耳鳴りの相談を受け、柴苓湯を処方し、服用していると耳鳴りが改善したとのことで、継続して服用されています。

 柴苓湯は小柴胡湯と五苓散を合方した処方です。使用目標(証)は体力中等度の人で、胸脇苦満(心窩部より季肋部にかけての苦満感、ならびに抵抗・圧痛)があり、尿量減少、浮腫、口渇などを伴う場合に処方し、元来「暑気あたり」に用いられました。腎疾患、肝疾患に対する効果が注目されていて、慢性腎炎、ネフローゼ、その他種々の原因による浮腫、慢性肝炎、肝硬変の初期、水溶性下痢、メニエール症候群、アレルギー疾患、耳鼻科・眼科疾患などにも広く用いられています。

 応用範囲の広い処方の一つで、これからも種々の疾患に処方したいと思います。

 

2022年4月29日記載