内海皮フ科のブログ

  • 柴葛解肌湯(さいかつげきとう)

 

 今年の日本東洋医学会総会は新型コロナウイルス感染の影響で、昨年に続いてオンライン形式で開催されました。興味のあるセミナーをWEBで視聴しました。

 その中で「新型コロナウイルス感染症に対する漢方治療」というタイトルのCOVID-19に関連するシンポジウムがあり、新型コロナウイルス感染初期に処方する漢方方剤として柴葛解肌湯(さいかつげきとう)が紹介されていました。
 柴葛解肌湯は馴染みのない漢方薬ですが、ほぼ葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を合方した方剤です。葛根湯は表寒実証に用いられ、小柴胡湯加桔梗石膏は裏熱虚証に用いられます。葛根湯は実証、小柴胡湯加桔梗石膏は虚証と相入れない感はありますが、病期の変化に対応するように合方して処方したのではないかと思います。かなり処方され有効例が多いようでした。

   日本では約100年前に蔓延したスペイン風邪の時に処方されていたようです。約100年前の処方が現代の感染症パンデミックな状況に使われ、有効であるのは漢方薬の素晴らしい一面と思います。

 

2022年6月29日記載