内海皮フ科のブログ

  口唇、口囲、陰部などに発症する単純ヘルペスはよく再発します。その際、抗ウイルス剤を服用すれば、改善しますが、再発が減るわけではありません。最近ではPIT(patient initiated therapy)両方と呼ばれる、予め多くの量の抗ウイルス剤を持っておき、単純ヘルペスが出現しそうに感じた時に一度に服用する治療が推奨されています。何人かの患者さんに処方しましたが、発症しないか軽症で済んだようで、その後、早めに抗ウイルス剤を処方してもらいに来る患者さんもいました。 これまでは再発時に抗ウイルス剤を服用するしかありませんでしたが、PIT療法で患者さんのヘルペスによる苦痛はかなり軽減されたと思います。

 再発性単純ヘルペスの漢方治療としてはこれまで補中益気湯を処方して、再発が抑えられた症例を経験していましたが、たまたま岐阜県総合医療センタ-産婦人科東洋医学科の佐藤泰昌先生が学会の要旨に「再発性口唇ヘルペスに対する漢方薬の効果」というタイトルで補中益気湯の有効例を紹介されていました。補中益気湯は、その名の通り「中」(脾胃≒消化吸収器官)の機能を強化することにより、「気」を益す作用がある。口唇は東洋医学では脾胃にあたり、「気」は免疫力にも作用する。そのため、疲労やストレスを契機とした口唇ヘルペスには効果が期待できると書かれています。

2023.8.30記載