内海皮フ科のブログ

再発性単純ヘルペスの漢方治療 口唇、口囲、陰部などに発症する単純ヘルペスはよく再発します。その際、抗ウイルス剤を服用すれば、改善しますが、再発が減るわけではありません。最近ではPIT(patient initiated therapy)両方と呼ばれる、予め多くの量の抗…

●清暑益気湯 連日猛暑日が続いています。夏バテ気味の人も多いと思います。夏バテに処方される清暑益気湯という処方があります。食欲不振、口渇、多汗、尿量減少、全身倦怠などの症状がある時に処方します。暑熱により、気虚と津液の損傷(水分代謝の乱れ)…

消風散と温清飲 6月も終わりが近づき、蒸し暑い日々が続いています。夏になるとアトピー性皮膚炎の患者さんに対する処方を温清飲(うんせいいん)から消風散に変えるようにしています。 温清飲はのぼせやすく、痒みが強く、皮膚枯燥し、乾燥落屑の傾向が強…

柔軟性のある漢方治療 コロナはかなり終息してきましたが、漢方薬の供給不足はまだ続いています。ある漢方薬が入手できない場合に、他の漢方薬で代用できることがあります。 例えば葛根湯が不足した時には麻黄湯を、補中益気湯が不足した時には人参養栄湯を…

柴苓湯(さいれいとう)のざ瘡への応用 ざ瘡はいわゆるニキビのことで、集簇性ざ瘡はざ瘡の特殊型で嚢腫、結節を生じる難治性のざ瘡です。 明和病院皮膚科の黒川一郎先生は明和医学誌の論文で集簇性ざ瘡の柴苓湯による治療について詳しく書かれています。集…

内海皮フ科のブログ 梔子柏皮湯(ししはくひとう) 今年はスギやヒノキの花粉に悩まされている患者さんが多いようです。顔面の皮膚炎で来院される患者さんで、鼻炎を伴っている場合は皮膚炎の原因は花粉によるものと思われます。 顔面の皮膚炎に対しては、抗…

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口内炎、口唇ヘルペスに半夏瀉心湯 口内炎や口唇ヘルペスは皮膚科で良く診ている疾患の一つです。疲れたり ストレスが溜まった時によく発症します。 西洋医学的には口内炎には口腔用のステロイド外用薬や胃薬、口唇ヘルペスには抗ウイルス薬の内服薬と外用薬…

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口内炎、口唇ヘルペスに半夏瀉心湯 口内炎や口唇ヘルペスは皮膚科で良く診ている疾患の一つです。疲れたりストレスが溜まった時によく発症します。 西洋医学的には口内炎には口腔用のステロイド外用薬や胃薬、口唇ヘルペスには抗ウイルス薬の内服薬と外用薬…

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季節を感じる漢方薬 私の住んでいる松江市では、1月の後半になって雪が続く毎日が続いています。毎日雪の除去に苦戦しています。10年ぶりの寒波ということですが、TVでは地球温暖化が逆に影響していると報道していました。真冬の寒さを体験しています。 季節…

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皮膚病雑記帳 漢方薬の供給不足 コロナ禍で漢方薬の供給不足が続いていています。漢方薬の需要がコロナ感染の拡大で増加したこと、世界的な生薬不足が原因と思われます。 しかし西洋薬と異なり漢方薬は比較的融通が利く薬剤なので、ある薬剤が無くても他のも…

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コレクチム軟膏と漢方薬 2年前からアトピー性皮膚炎に有効なJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤のコレクチム軟膏が処方できるようになり、有効例が多く、患者さんにとって福音となっています。 JAK(ヤヌスキナーゼ)はアトピー性皮膚炎に関わるIL(インターロイ…

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色で選択するにきび(尋常性痤瘡)の漢方処方 松田邦夫先生の著書、『症例による漢方治療の実際』に、師匠の大塚敬節先生は、にきびの発疹の色で漢方処方を選択していたと記載されていたので紹介します。 赤いにきびには清上防風湯、青いにきびには桂枝茯苓…

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色で選択するにきび(尋常性痤瘡)の漢方処方 松田邦夫先生の著書、『症例による漢方治療の実際』に、師匠の大塚敬節先生は、にきびの発疹の色で漢方処方を選択していたと記載されていたので紹介します。 赤いにきびには清上防風湯、青いにきびには桂枝茯苓…

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皮膚疾患、漢方治療の裏ワザ テキストや能書に載っていない漢方薬の処方が、臨床の場では用いられ、有効なことがあります。いくつかを紹介します。 柴苓湯。柴苓湯パート2で紹介しましたが、ステロイド様効果を期待できます。皮膚炎の急性期にはステロイド…

内海皮膚科のブログ 真武湯 パート2 真武湯は私がよく処方している漢方薬の一つで10年ほど前にブログで紹介しました。処方の目標は、新陳代謝が低下して体力が虚弱な人で、全身倦怠感や四肢の冷感や下痢、腹痛を訴えるなどです。 今月15日に出雲市で漢方の…

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柴葛解肌湯(さいかつげきとう) 今年の日本東洋医学会総会は新型コロナウイルス感染の影響で、昨年に続いてオンライン形式で開催されました。興味のあるセミナーをWEBで視聴しました。 その中で「新型コロナウイルス感染症に対する漢方治療」というタイトル…

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蕁麻疹に葛根湯 風邪の初期によく処方される葛根湯ですが、昨年の3月に葛根湯について記載し、その中で、急性期の蕁麻疹で発疹が熱を帯びている時に、抗アレルギー剤と併用すると発疹の出現を抑える効果が増すことがあると紹介しました。 蕁麻疹に対して優…

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柴苓湯パート2 2年ほど前の8月に柴苓湯について記載しました。糖尿病や緑内障の患者さんにはステロイドを処方できないので、皮膚疾患の治療にステロイドの代替えとして柴苓湯を使うことがあります。ステロイドの内服より即効性はありませんが、じわじわと効…

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No.259 茶色の手帳 私の診察室の棚にはスマホよりやや小さ目の茶色の手帳がいつも置いてあります。茶色の表紙に茶色の文字(判読しにくいですが)でTSMURA KAMPO MEDICINE FOR ETHICAL USE, その下にツムラ医療用漢方製剤と記されています。 裏表紙に制作が2…