• 柴苓湯(さいれいとう)のざ瘡への応用

 ざ瘡はいわゆるニキビのことで、集簇性ざ瘡はざ瘡の特殊型で嚢腫、結節を生じる難治性のざ瘡です。

 明和病院皮膚科の黒川一郎先生は明和医学誌の論文で集簇性ざ瘡の柴苓湯による治療について詳しく書かれています。集簇性ざ瘡は臨床的には顔面、前胸部、背部、肩甲部、上腕などの毛包の分布する部位に嚢腫、結節、瘢痕といった肉芽腫形成が強い傾向を示す疾患です。

 柴苓湯の作用として、内因性ステロイド様作用、免疫調節作用などがあり、炎症症状、瘢痕形成の抑制に働いたものと推察されています。

 私はこれまで傷跡が隆起するケロイドにステロイド局注やリザベン内服とともに柴苓湯を併用して処方していますが、柴苓湯を併用したほうが、治りが早い印象を持っています。

 柴苓湯は、吐き気、食欲不振、のどのかわき、排尿が少なく状態で、水瀉性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、むくみなどに効果的とされていますが、集簇性ざ瘡の治療にも柴苓湯を応用してみたいと思います。


2023.4.30記載